ここでは、定番と言われる新書について御紹介しましょう。
新書と言われる限り、最近発刊された新刊書のことを意味しますので、定番となってしまえばもはや、新書とは呼べないとも思えるのですが、とにもかくにも御紹介しましょう。
捕鯨論争をはじめる前に~『クジラは誰のものか』秋道 智彌著(評者:山川 徹)ちくま新書、740円(税別)は、従来から問題になっている捕鯨問題をめぐる論争について、その進むべき方向性を的確に示してくれる定番の新書と言うことが出来るでしょう。
著者は、調査捕鯨の違法性やクジラを殺すことの残虐性・そもそもなぜクジラを捕ってはいけないのかなどというふうに、論争が複雑化する捕鯨問題について、ただ「捕る」のか「保護する」のかという区別をつけるだけで解決する問題ではなく、クジラの種類・生息地域・文化などの問題を考慮して検討する必要がある、と主張しています。
著者はこの本の中で、種類によって増えていたり、乱獲によるダメージを回復していないクジラが存在したり、同じ国でも民族同士の文化の違いによって、捕獲派と保護派に分かれるアメリカなどの地域性についても言及し、より多角的な視点から捕鯨問題をとらえるべくさまざまな提案をしています。